FrontPage > FlightGearマニュアル > 第9章
このドキュメントは http://mapserver.flightgear.org/getstart/getstart-enpa3.html#x6-1580009 の日本語訳です。
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ここでは、あなたがFlightGearで満足に離陸、上昇、旋回、降下及び着陸ができることを仮定しています。もし、そうでなければ、先に挙げたもののチュートリアルを見てください。このチュートリアルはそれらの順番に登場し、少しだけ複雑な飛行システムや手順のいくつかの情報を提供するように作られています。
短い免責です。実生活で私はCessnaなどではなく超軽量動力機(マイクロライト)で飛んでいます。この情報のほとんどは様々な信頼性のないことを集めたものです。もし間違いや勘違いを見つけましたら教えてください。stuart_d_buchanan -at- yahoo.co.uk までメールを送ってください。
このチュートリアルを間違いなく、読みやすくするために手伝ってくれた次の人々に感謝をします。Benno Schulenberg, Sid Boyce. Vassilii Khachaturov, James Briggs.
始める前に、私たちのフライトの計画を立てる必要があります。そうしないと左に旋回するのか右に旋回するのかもわからないまま離陸することになります。
まず、その空域の区分航空図(Sectional)を見てください。これは空港・飛行場、航法援助施設、障害物などを記した飛行するための地図です。VFR飛行用の区分航空図には2つの縮尺があり、1:500,000の区分航空図そのものと、たくさんの1:250,000の特に混雑した空域を対象とするVFR Terminal Area Chartsです。
これらはpilot shopか、webで手に入れられます。Google-map形式のインターフェースはここからアクセスできます:http://www.runwayfinder.com/
Reid-Hillviewを簡単に検索します。図9.2はチャートからの抜粋です。
飛行機がどこにいるのかを正確に表示する完全な地図がほしいなら、Atlasをつかってはいかがでしょうか。これはFlightGearと接続する、動く地図プログラムです。詳しくは5.2章を見てください。
さて、Reid-HillviewからLivermoreまでどうやって飛びましょうか?
私たちはKRHVの滑走路(以下、滑走路の名前を述べるときはRunway)31Rから離陸するつもりです。KRHVはReid-Hillview空港のICAO(訳注:International Civil Aviation Organization;国際民間航空機関)コードで、FlightGearのwizardで表示されます。(区分航空図では歴史的事情からRHVとマークされています。ICAOコードを得るには、単純に'K'を頭につけるだけです。)
31は滑走路の磁方位がおよそ310度であるということを示し、Rは滑走路が右側にあるということを示します。区分航空図からわかるように、KRHVには2本の平行した滑走路があります。これは空港を利用する多量の交通を扱うためです。それぞれの滑走路をどちらの方向にも使うことができます。Runway 31は反対側からRunway 13として使うことができます。ですから、使える滑走路は13R, 13L, 31R, 31Lとなります。 離着陸は風上へ行ったほうが簡単ですから、北西の風のときは滑走路は31Rと31Lが使用中になります。(訳注:ここでいう「使用中」とは誰かが滑走路を使っているというよりも、「空港がその滑走路の向きを離着陸に使っている」という意味になります。) 滑走路の名前は始点に大きな文字で書かれており、空中から容易に見つけることができます。
離陸したら直ぐに機首をLivermore (KLVK)の方向350度に向けます。およそ海抜3,500ftを飛行する予定です。これは航路上のいかなる地形や電波塔のような障害物から、少なくとも500ft上を飛ぶよう見積もっています。
カラベラス湖(Calaveras Reservoir)の上空を飛行したらすぐにサン・アントニオ湖(San Antonio Reservoir)です。両方とも大きい水域ですから、正しい進路上から外れないための目標(訳注:原文ではnavigation aidsです)として使うことができます。Livermoreの外、約10マイル(サン・アントニオ湖に到達したら、どこに着陸すべきか知るためにLivermore 管制(Air Traffic Control; ATC)と連絡をします。続いて場周経路(訳注:原文はcircuit。意味はtraffic patternだと思うので場周経路と訳しました。場周経路については後ほど説明があります。)に加わり、着陸します。
さて、私たちがどこへ行き、どうやってそこへたどり着くかがわかりました。それでははじめましょう。
FlightGearをWizard(又は、あなたが好きならcommand-line)を使って起動しましょう。私たちはC172Pを使って、サンタ・クララにあるReid-Hillview(KRHV)のRunway 31Rから離陸したいと思います。夜明けはカリフォルニアで飛ぶにはいい時間ですよ。
望むならばKRHVの現在の気象で飛ぶことができます。Wizardの最後の画面でAdvancedボタンをクリックし、左側の枠からWeatherを選択、'Fetch real weather'を選んだらOKをクリックします。
離陸する前に、私たちは航空機の飛行前点検をする必要があります。現実世界では、故障や脱落などがないか点検するために航空機の周囲を歩くことや、十分な燃料があるか点検することがこれに含まれます。
私たちの場合は、この時を利用して気象を確認して高度計を設定し、飛行していないうちに比較的簡単にできることを予め設定します。
気象は、飛行するときに当然重要になります。離陸に影響するかもしれない横風があるかどうか、雲はどの高度にあるか(これはVFR飛行ですから、常に雲から離れて飛ぶ必要があります)、そして進路の外へ私たちを吹き流すかもしれない風があるかについて知る必要があります。
高度計も規正する必要があります。高度計は、上昇するにつれて低下していく大気圧を測定することによって間接的に現在の高度を計算しています。しかしながら、気候が大気圧に影響して不正確な高度計の指示をさせます。これは山岳部を飛ぶには致命的です。
便利なことに、空港はそれぞれ現在の海面上の気圧を有益な気象情報と空港情報をATISによって放送しています。 これは無線によって放送される録音されたメッセージです。一方、ATISを聞くには、無線機を正しい周波数に同調させる必要があります。
ATISの周波数は区分航空図に表示されていますが(空港の近くの'ATIS'を探してみましょう)、FlightGear内蔵の物も利用できます。空港の周波数(割り当てられていればタワー、グラウンド、アプローチも含まれます)を知るには、ATC/AIメニューを使って周波数を選びます。次にダイアログ・ボックスにICAOコード(KRHV)を入力します。すると空港に関連した様々な周波数が表示されます。(注:2.10.0ではAI -> ATC Services in Rangeでダイアログが開きます。すると、KRHVを含めた、自分の周辺の空港のICAOコードをボタンで選択できます。) 重複した表示は、空港がその業務に複数の周波数を使用していることを示し、あなたはその中のいずれかを選ぶことができます。
どちらにしても、Reid-HillviewのATISの周波数は125.2MHzです。
(ATISはアティスやエイティスなどと読みます)
私たちは今、無線機を同調する必要があります。無線機は主計器盤の右側にあるRadio Stackにあります。実際には1と2の、2つの独立した無線系統です。それぞれの無線機は、左側の通信用(COMM)無線機と右側の航法用(NAV)無線機の2つにわけられます。私たちはCOMM1をATISの周波数に同調させたいと思います。
高度計を設定する他の方法は、高度計の指示を空港の海抜高度に一致させることです。標高は区分航空図に記載されています。KRHVの標高は133ftです。これは、ATISの通報した気圧と二重のチェックができる、ということになります。
よろしい、それでは準備が済んだので、実際に離陸することができます!私の場合はたいてい滑走路全体にわたって蛇行し、地面を離れると左へ急に曲がるのですが、あなたはおそらく私よりも上手に操縦するでしょう。1000ft上昇したら、350度へ優しく右旋回します。ヘディング・バグをセットしてあるので、簡単にたどれるでしょう。特に目立つ谷を目標にしましょう。
およそ500-700 fpm(feet per minute)で3,500ftへ上昇を続けましょう。その高度に達したらパワーを減らして水平飛行に移行してトリムを適切に設定します。パワーをもう一度確認し、回転計のグリーン・アークに入るよう調整します。離陸上昇中を除いて最大回転数でエンジンを運転してはいけません。
OK、私たちは離陸し、Livermoreへの航路上にいます。さて、私たちは自動操縦装置を使うことで少しだけ楽ができ、エンジンを調整することで飛行機の燃料効率をよりよくすることができます。私たちがコース上にいることの確認もしたいと思います。
自動操縦装置のパネルはRadio Stackの下のほうにあります(図9.10)。スタックのほかのコンポーネントよりもたくさんのボタンがついていますから容易に区別できます。これはいろいろなモードで作動できますが、このフライトではそれらの中でもHDGだけを使います(HDG;Headingの略)。名前の示唆するとおり、HDGは先ほどセットしておいたコンパス上のヘディング・バグを自動操縦装置に追随させます。
自動操縦装置を設定するには、APボタンを押して自動操縦装置をONにし、続いてHDGボタンを押してヘディング・モードを作動させます。自動操縦装置がONになっている間は、機体をヘディング上に保持するようトリム・コントロールを自動操縦装置が操作します。ヘディング・バグを動かすと、自動操縦装置は適切に操縦します。しかしながら、自動操縦装置は風向や風速を全く考慮せず、ただ飛行機の針路を定めるだけです。もし横風の中を飛んだら、機体は一方向を向いたまま、全く違った方向に進んでいってしまいます。
水平飛行を維持するにはトリム・コントロールを使わなくてはなりません。自動操縦装置をそのために使うこともできますが、それは少しだけ余計に複雑になります。
自動操縦装置の操縦で航空機が安定したら、私たちは外の世界にもっと注意を払うことができ、より高度な作業をすることができます。
カーソルが双頭の矢印(←→)に変わるまでFlightGearのウィンドウの中で右クリックをし、マウスを動かせばコックピット・ビューで視点を動かすことができます。ミクスチャ・レバーがよく見えたらもう一度右クリックをしてマウスカーソルを通常の矢印に戻します。
2つ目の湖(サン・アントニオ湖)を通過したら、Livermoreに着陸するために降下する必要があります。着陸は離陸よりはるかに複雑ですが、無事に着陸 したいでしょうから、これを読むためにシミュレータにポーズ('p'キー)をかけることが出来ます。
現実の世界では、湾は空中も地上と同じように混雑しているので、私たちは常にATC(Air Traffic Control)と交信します。
ATCは私たちに’飛行支援’サービスを提供し、航空機の周辺について、衝突を避けるために絶えず警告します。FlightGearの空は交通量が少ないので、飛行支援サービスは必要ないでしょう。交通量を変えたいならば、AIメニューから変えることが出来ます。
Livemor空港は管制されているので(管制がある空港は区分航空図上で青く書かれています)、管制塔とコミュニケーションを取って、着陸のための指示を受ける必要があります。
その前に、まずはATISを聞いて、大気圧が変わっている場合はもう一度高度計を規正しましょう。今回のような短距離のフライトでは滅多に無いことですが、100マイル以上の長距離では大気圧の差があるかもしれません。手早く無線機を同調させるために、"Equipment Menu"の中の"Radio Settings"ダイアログを開く事ができます。LivermoreのATISの周波数は119.65MHzです。
ATISはいつ発行されたものかを見分けるために、フォネティック・コード(Alpha, Bravo, … Yankee, Zulu, Alpha …)を使います。このコードは、更新ごとに次の物に移ります。
管制官はパイロットが持っている情報が正しいか確認できるように、パイロットは初めに管制塔にコンタクトを取る時、この識別コードを告げます。
(sambarによる注記 :「Livermore tower, JA12DB , request landing instruction with bravo.」等のように。最後の、「with bravo」が識別用のコード。)
高度計の規正値と天候の情報だけでなく、ATISは使用している滑走路も放送します。これは着陸の計画を立てるのに役に立ちます。通常、西風の場合はLivermoreではRunway25RとRunway25Lを使用します。
ATISを一通り聞いたら、Livermore Towerに無線周波数を合わせます。周波数は118.1MHzです。ATトラフィックの量は設定によって変わりますが、Livermore Towerと出発/着陸する他機の交信を聞くことが出来ます。この交信は画面上に表示されるだけで、(訳注:Festival等のTTSシステムを使用しない場合)音声はありません。
他機の交信が収まったら、「'」キーを押してください。ATCメニューが表示されます。
ATCメニューで出た中から、言いたいことを選んでクリックしてください。
(訳注:2.2.0以降ではATC/AIシステムが廃止され、Interactive Trafficになった影響でこの機能がうまく動きません)
あなたの送ったメッセージは画面上部に表示されます。それは、自分のコールサイン(訳注:米国の場合、国籍のNを省略し代わりに機種名を頭につけ、N12345を Cessna 12345等と呼ぶこともあります)、自機の位置(例:6 miles south=6マイル南)、着陸したい旨と自分の持っているATISの情報を伝えます。
数秒後、Livermore Towerから返答があります。コールサインに続いて使用中の滑走路とどの場周経路(Traffic Pattern)に入ればいいか指示があります。 例:Golf Foxtrot Sierra , Livermore Tower , Report left downwind runway two five left.”
上のメッセージがどういう意味か理解するために、私たちは次の項で場周経路について説明しなければならないでしょう。
複数の航空機が飛んでいれば、離着陸の標準的な手続きが必要です。 さもなくば、誰かが離陸中の航空機の上に着陸しようとするかもしれません。
場周経路は、離着陸のために飛行場付近を飛行する全ての航空機が従う必要のある標準のルートです。これは4つのステージ(もしくは'レグ')に分かれており、図9.15に示します。先ほど管制官が指示した'downwind(ダウンウインド)'はこれらのうちの一つの、下記3を指しています。
(訳注:'レグ'と呼ぶのが一般的です…)
先述のパターンへ入る一般的なガイドに従うために、空港とPleasantonとLivermoreの2つの市街地からの自分の位置を比較して自分自身でナビゲートしてください。
ダウンウインドレグに到達したら、再度ATCに通報する必要があります。先ほどと同じように言ってください。 なたは着陸待ちの何番目か教えられるでしょう。 'Number 1'と言われた場合、他の発着機が自分より前に居ないことを意味し、'Number 9'と言われた場合、少しでも混んでない空港に行きたくなるでしょう! このとき、あなたの前にどこに何が居るかも教えられるでしょう。例えば、'Number 2 for landing, follow the Cessna on short final’といわれた場合、あなたの前にセスナが1機いて、それはファイナルレグ上に居る事を意味します。先行機が着陸して滑走路を出たら、ATCは‘Number 1 for landing' と教えてくれるでしょう。
原文にはないのですが、PAPIについて触れておきます。
PAPI(Precision Approach Path Indicator;精密進入角指示灯)はVASIよりも高精度な装置です。
滑走路左側に設置された4灯で成り立ち、進入角によって赤・白の灯火の比率が変化します。
適切な進入角であるとき、指示は「白白赤赤」と見えます。赤が多いほどパスが低く、逆に白が多いほどパスが高いことを意味します(RED means DEADなどと覚える)。
パイロットの目線(アイ・ハイト)が高い飛行機が多く離着陸する飛行場においてはそれらの機体のアイ・ハイトにあわせて設置されているため、今回のようなアイ・ハイトの低い機体で進入した場合は本来の接地点よりも風上側(つまり奥側)に接地することになります。
そのため、「“白赤赤赤”で丁度よい」といった経験則を適用することがありますが、基本は「Visual Approach = 目視進入」です。
現在日本の飛行場にはPAPIのみが設置されています。
着陸したら滑走路から出て、滑走路を空けた旨ATCに言ってください(注:安全な速度まで減速したら、まずTowerと交信してその指示に従うべきでしょう)。
標高の高い空港では、濃すぎる混合気でスパークプラグを汚さないよう、リーンにします。適切な駐機場所を探し、ミクスチャレバーを引っ張って完全にリーンにしてエンジンを止めてから、スロットルを閉じてマグネト(パネル下部左側のノブ)をOFFにしてください。それから、アビオニクスのマスタースイッチをオフにし、機体を固定してください。それらが終わったら、ハンバーガーを食べましょう!(訳注:2時間未満のショートフライトを意味するスラングに「$100 hamburger」というのがある。)
私はこのチュートリアルがFlightGear上で活用される事を期待します。何かコメントがあれば、stuart_d_buchanan {at} yahoo.co.uk (原文筆者)またはJP FlightGearフォーラムで連絡ください。
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